女性の防災|避難所で女性が困る5つのことと、今日からできる備え
避難所で、女性は男性と同じ備えでは足りません。
ここを知らない男性は多いです。災害対応の研修や、同じく災害対応にあたった市の職員から聞く話のなかで、「避難所に来てから困った」という女性の声を何度も知らされてきました。
プライバシー、生理用品、防犯、妊婦・授乳期の対応——どれも事前に備えがあるかどうかで、避難生活の質がまったく変わります。
この記事では、消防歴15年で得た学びと、内閣府男女共同参画局のガイドラインをもとに、女性が押さえておくべき5つの備えを整理します。
まもる 避難所って、男女で違う備えが必要なんですか?
ケン そう、決定的に違うんだ。特にプライバシーと防犯は、男性目線では気づきにくい盲点なんだよ。
この記事でわかること
避難所で女性が直面する5つの困りごと
東日本大震災や能登半島地震の支援報告書、内閣府男女共同参画局のガイドライン、災害対応研修の事例で、共通して挙げられている課題を整理します。
① プライバシーが守られない
体育館などの避難所では、着替え・授乳・休息のための仕切りがないことが普通です。視線が気になって着替えられない、母乳をあげる場所がない、寝顔を見られたくない——こうした声が、災害対応にあたった市職員や、被災地支援に入った医療スタッフから繰り返し報告されています。
② 生理用品が足りない
物資支援は来ますが、初動の数日は生理用品が不足することが多いです。さらに、男性スタッフから配布される心理的ハードルで「言い出せない」女性も。
③ トイレが衛生的でない
断水時のトイレは想像以上に劣悪です。特に女性は感染症リスクが高く、膀胱炎・尿路感染症で体調を崩すケースが報告されています。
④ 防犯リスクが上がる
過去の災害では、避難所や仮設住宅周辺での女性・子どもへの犯罪被害が複数報告されています。電気の止まった夜道、見知らぬ人との集団生活——日常では考えにくいリスクが現実に存在します。
⑤ 役割の偏り
避難所運営で、炊事・育児・介護がほぼ女性に偏る傾向があります。これは「災害時くらい仕方ない」で済む話ではなく、女性の疲労蓄積につながる構造的問題として、内閣府も改善を呼びかけています。
これらは「女性だから我慢すべき」ことではなく、事前に備えれば回避・軽減できるものばかりです。避難所運営側にも改善は求められていますが、まずは自分と家族の備えから始めるのが現実的です。
備え①|生理用品はローリングストックで多めに
「災害時に生理が来てしまったらどうしよう」という不安、抱えている方は多いと思います。
推奨量
- 平常時の使用量 × 最低3ヶ月分
- ナプキン(昼用+夜用)・タンポン両方
- おりものシート
ローリングストックがおすすめ
普段使いの量をいつもより1〜2パック多めに常備し、使った分を買い足す。これだけで、災害時に「いつもの製品が手元にある」状況を作れます。
持出袋には最低1サイクル分
リュックに入れる生理用品は、最低1回の生理サイクル分(5〜7日分)を密閉袋に入れて常備。避難所で物資支援が来るまでの数日を凌げます。
まもる 3ヶ月分って、けっこう多いですね…
ケン 災害時は物流が完全に回復するまで1〜2ヶ月かかることもあるからね。普段からローリングストックしておけば、防災専用に買い足す必要もないんだ。
備え②|プライバシー対策
避難所での着替え・授乳・休息の場所を確保するため、以下を準備しておくと安心です。
持出袋に入れたいもの
- 大判のストール・ブランケット(着替え時の目隠しに)
- ポンチョタイプの被り物(その場で着替えられる)
- アイマスク・耳栓(プライバシー確保&睡眠)
簡易テントの活用
最近の避難所では「段ボール簡易テント」が配備されつつありますが、行き渡るまで時間がかかります。家庭でポップアップ式の簡易テントを1つ持っておくと、避難所に持ち込んで設置できます。
備え③|防犯対策
「災害時に犯罪なんて」と思うかもしれませんが、過去の災害では女性・子どもを狙った犯罪が複数報告されています。
持出袋に入れたいもの
- 防犯ブザー(首から下げられるタイプ)
- ホイッスル(瓦礫対策にもなる)
- 小型LEDライト(夜間トイレ用)
行動面の対策
- 夜間のトイレは1人で行かない:家族や友人と一緒に
- 避難所で1人になる時間を作らない:必ず誰かと行動を共にする
- 連絡先を常に把握:家族のいる場所・最寄りの女性スタッフ
過去の災害では、被災地周辺の仮設住宅・避難所で、女性が一人で歩いている時間を狙った犯罪が確認されています。「みんな被災して大変なのに」と泣き寝入りする必要はありません。自衛は最大の防犯です。
備え④|妊婦さん・授乳中の方の備え
妊娠中・授乳期の女性は、通常以上に細やかな備えが必要です。
妊婦さんの備え
- 母子手帳・健診結果のコピー(紙+スマホ両方)
- 妊婦用の防災リュック(軽量・両手が空くもの)
- 普段飲んでいるサプリ・葉酸の1ヶ月分
- 早産対策の替えナプキン
授乳中の方の備え
- 液体ミルクの備蓄(赤ちゃんと災害の記事で詳しく解説)
- 授乳ケープ(避難所での目隠し)
- 哺乳瓶を洗わずに使える「使い捨てインナー」
妊婦健診の自治体支援
多くの自治体で、災害時に妊婦健診の代替会場・優先受診の制度があります。お住まいの自治体の母子保健センターに、平時から「災害時はどうなるか」を聞いておくと安心です。
備え⑤|単身女性のための備え
一人暮らしの女性は、自助の比率がより高くなります。家族に頼れない分、自分で備える量を増やしておきましょう。
単身女性のチェックリスト
- 玄関に靴底の厚いスニーカー(瓦礫対策)
- ドア用つっかえ棒(防犯)
- スマホの位置共有を信頼できる友人と設定
- マンションなら隣室・上下階の住民との挨拶
- 自宅周辺の女性スタッフがいる避難所をリスト化
まもる 一人暮らしの方は、より念入りに備える必要があるんですね。
ケン そう、家族との助け合いがない分、自分の備えと、信頼できる人とのつながりが大事になるんだ。普段から「いざというとき頼れる人」を作っておくことも、立派な防災だよ。
自治体の支援制度
多くの自治体が女性向けの防災支援制度を持っています。事前に確認しておくと、いざというとき迷わず動けます。
- 女性専用避難スペース:体育館の一角や別棟を女性専用に確保
- 女性スタッフ常駐:保健師・助産師が避難所を巡回
- 生理用品の優先配布:女性スタッフ経由で受け取れる
- DV相談窓口:災害時も24時間対応している自治体が多い
「お住まいの市区町村名 + 女性 + 防災」で検索すると、多くの自治体がガイドを公開しています。
今日からできる3つのアクション
「全部一気にやるのは無理…」という方へ、優先順で3つ紹介します。
① 生理用品を1パック多めに買う
次の買い物のときに、いつもより1〜2パック多めに買う。これだけでローリングストックが始められます。
② 持出袋に「防犯ブザー」と「大判ストール」を1つずつ
100円ショップでも揃えられます。1,000円以下で防犯とプライバシー対策ができます。
③ 自治体の女性向け防災ガイドを読む
「○○市 女性 防災」で検索。5分読むだけで、地域の支援制度がわかります。
まもる 今週末、生理用品とストール買ってみます!
ケン その小さな1歩が、いざというときの大きな安心になるよ。「備えること自体が、女性の人権を守る行動」なんだ。
まとめ|女性の防災は「ためらわない備え」
| 優先度 | アクション |
|---|---|
| ⭐⭐⭐ | 生理用品をローリングストックで3ヶ月分 |
| ⭐⭐⭐ | 持出袋に大判ストール・防犯ブザー |
| ⭐⭐ | 簡易テント・アイマスク・耳栓 |
| ⭐⭐ | 自治体の女性向け防災ガイド確認 |
| ⭐ | 妊娠中の方は健診の自治体制度を確認 |
「女性だから言いにくい」を、「言わなくても備えてある」に変えるのが、女性の防災です。
今日やること:生理用品を1パック多めに買う。それだけで、防災レベルが一段上がります。
参考・出典
- 内閣府男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点」
- 内閣府「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」
- 東京都「東京くらし防災(女性視点の防災ブック)」
- 警察庁「災害発生時の防犯対策」
- 厚生労働省「災害時の母子保健活動の手引き」