地震が来た瞬間にやるべき3つの行動|元消防士が教える生存率を上げる初動対応
地震が来た瞬間の数秒〜数分の行動で、生存率は大きく変わります。
2026年6月25日朝、岩手県沖を震源とする地震で青森県階上町に最大震度6強を観測しました。揺れの状況・余震への備え・安否確認の方法は、【速報】岩手県沖地震・青森で最大震度6強の記事にまとめています。
阪神・淡路大震災では、亡くなった方の約9割が「建物倒壊」と「家具の下敷き」が原因でした。つまり——揺れの最初の10秒で正しい行動が取れていれば、助かった命がたくさんあったということです。
この記事では、消防歴15年の僕(ケン)が、地震の瞬間にやるべき3つの行動を、現場の経験を踏まえて解説します。
まもる 地震が来たら、とりあえず机の下…ですよね?
ケン それは正解のひとつ。でも、場所によっては机の下が逆に危険な場合もあるんだ。正しい初動を一緒に確認しよう。
この記事でわかること
やるべき3つの行動
行動1|まず「身を守る」(最初の10秒)
揺れが始まった瞬間、何よりも先に頭と体を守ることが最優先です。
基本の3原則:DROP(低く)・COVER(隠れる)・HOLD ON(動かない)
- DROP:その場に低い姿勢を取る
- COVER:机の下や丈夫な家具の陰に隠れ、頭を守る
- HOLD ON:机の脚をつかみ、動かないよう固定
机がない場所では、座布団やカバン、クッションで頭を守るだけでも被害は大きく減ります。何もないときは、家具や窓ガラスから離れた空間でうずくまり頭を抱えましょう。倒れてくる家具や落下するガラスから距離を取ることが最優先です。
行動2|揺れが収まったら「火の始末・出口確保」(30秒〜1分)
揺れが収まったら、次の2つを同時に進めます。
火の始末
- 調理中なら火を止める(最近のガスコンロは自動停止するものも多い)
- 無理に消そうとして火傷しないように
出口確保
- ドアや窓を開ける
- 建物の歪みでドアが開かなくなる前に
まもる 火の始末と出口確保、同時にできるかな…?
ケン 家族がいるなら役割分担が大事。「パパは火、ママは玄関のドア」と決めておくだけで、スムーズに動けるよ。
行動3|情報収集と家族の安否確認(数分〜)
揺れが完全に収まり、安全が確保できたら:
- ラジオ・テレビ・スマホで情報収集
- 家族の安否確認(連絡方法は別記事)
- 避難の必要性を判断(津波・火災・建物損壊)
すぐに外に飛び出すのはNGです。外は落下物や倒壊物で危険な場合が多い。まずは屋内で安全を確保してから判断しましょう。
場所別・正しい対応
自宅の場合
- キッチン:その場で身を低くして頭を守る。揺れが収まってから刃物・ガラスのない安全な部屋へ移動(揺れの最中に動くと転倒・落下物で危険)
- 寝室:布団や枕を頭に被って、低い姿勢で待機
- 浴室:ドアを開けて出口を確保し、洗面器などで頭を守る(閉じ込めを防ぐため)。湯気による視界悪化にも注意
- 階段:危険。最寄りの部屋へ移動して身を伏せる
職場・学校の場合
- 机の下に身を隠す
- ロッカーや本棚から離れる
- 窓ガラスから離れる
屋外の場合
- ビル街:看板・ガラスから離れ、建物の出入口(ピロティ)へ
- 住宅街:ブロック塀・自動販売機から離れる
- 車運転中:ハザードを点けて左に寄せ、停車。避難する際はキーは付けたまま・ドアロックはせず・車検証等を持って車を離れる(緊急車両通行のため警察等が移動できるように)
まもる 車のキーを付けたままにするんですか!?盗まれませんか?
ケン 緊急車両が通るとき、警察や消防が車を移動させる必要があるからね。持ち去るよりも、緊急通行の妨げにならないことが優先なんだ。
絶対にやってはいけないNG行動
- いきなり外に飛び出す(落下物・倒壊物)
- 火の周りで揺れを耐える(火災の原因に)
- エレベーターで避難(閉じ込めリスク)
- 慌てて階段を駆け下りる(転倒・将棋倒し)
- すぐに電話をかける(回線パンクを助長)
万が一「閉じ込められた」ときの命綱
家屋倒壊や家具の下敷きで動けなくなった場合、声を出し続けるのは想像以上に体力を消耗します。瓦礫の下では、叫び続けるよりホイッスルを吹くほうが圧倒的に救助隊に気づかれやすい。
枕元やリュックに1個、500円台のホイッスルを置いておくだけで、生存率が変わります。
コクヨ 防災用ホイッスル ツインウェーブ DRK-WS1NW(ホワイト)
プロの視点:文具大手コクヨが防災用に開発した小型ホイッスル。2つの発音体(ツインウェーブ)構造で、少ない息でも遠くまで届く高音が出ます。瓦礫に埋もれた状況や、停電の建物内で動けないとき、声よりも圧倒的にエネルギー効率が良いのがホイッスル。家族全員が首から下げておけるよう、人数分そろえるのがおすすめです。500円台と安価なので、まずここから備えを始めるのもアリ。
現場で見た「この差が生死を分けた」実例
東日本大震災のあと、現場を経験した同僚から聞いた話です。
ある家庭は、普段から家具の固定・就寝時のスリッパ設置・玄関までの動線確保を徹底していました。結果、停電で真っ暗な中でもスムーズに避難でき、全員無事。
一方、別のお宅は倒れたタンスと散乱したガラスで玄関まで辿り着けず、救助まで数時間を要しました。
ケン 「平時の備えが、有事の行動を決める」。これは現場で何度も痛感したことなんだ。
まもる 備えておくって、本当に大事なんですね…。
よくある質問
読者の方からよくいただく質問に、まとめてお答えします。
Q. 「まず火を消す」は正しい?
揺れている最中は、火に近づかないでください。 昔は「地震だ、火を消せ」と言われましたが、今は考え方が変わりました。揺れの中でコンロに近づけば、落下物や熱湯でケガをします。近年のガス機器やガスメーターには、揺れを感知して自動で止まる仕組みが備わっています。火の始末は、揺れがおさまってからが正解です。
Q. すぐ玄関を開けて逃げ道を確保すべき?
揺れている最中の移動は危険です。 「ドアが変形して閉じ込められる」心配から言われる話ですが、揺れの中を歩けば転倒し、家具や落下物に当たります。まず身を守り、おさまってからドアや窓を開ける順番にしてください。
Q. 地震が来たら、すぐ外に出たほうが安全?
多くの場合、すぐ外に出るほうが危険です。屋外では、窓ガラス・外壁・看板・ブロック塀が落ちてきます。木造住宅なら倒壊のおそれもあるため状況判断が必要ですが、鉄筋のマンションなどでは屋内で身を守るほうが安全なことが多いです。
Q. 寝ているときに大地震が起きたら?
とっさに動けないので、起きる前の備えが命を分けます。枕元にスリッパ(ガラス対策)・ライト・ホイッスルを置き、寝室に背の高い家具を置かないこと。この対策は家具の固定の記事で詳しく解説しています。
Q. 子どもと一緒にいるときは?
自分の身を守るのが先です。親が動けなくなれば、子どもを守れません。可能なら子どもを机の下に入れて覆いかぶさりますが、離れた場所にいる場合は、まず自分が安全を確保してから動いてください。日ごろから「地震のときは机の下」と練習しておくのが、いちばんの備えになります。
まとめ|3つの行動を体に覚えさせる
- 身を守る(DROP・COVER・HOLD ON)
- 揺れが収まったら火の始末と出口確保
- 情報収集と安否確認
この3つを声に出して家族で練習してください。頭で理解するだけでなく、体に覚えさせることが、本番で差をつけます。
まもる 今度、家族で訓練してみます!
ケン その姿勢、本当に素晴らしい。訓練していた人しか、本番では動けないからね。